Ablicht mit Riten

7人のチューバ、打楽器、電子音と映像

(1999)
16 min
映像:山川冬樹
Inagawa-Gumi委嘱
Edition Juliane Klein

演奏

  • 世界初演: Inagawa-Gumi 目黒公会堂 東京 2000

プログラムノート

(うつした光-儀式と共に)
月には太陽の光がうつっている。しかしその光を見る人間は文明の始まった時から自分のイメージ、自分の気持ち、自分のあこがれ、夢を月にうつすそのような事には具体的な目的がないけれど、人間にとって、とても大事な事だと思います。
音楽も同じ事です。音楽家は演奏によって音楽という光をうつし出します。それを聴いた人は自分の事をそれにうつします。
それぞれの聴衆に、それぞれの人の自由なイメージを広げる可能性を与えるために、私の音楽には芝居的な流れは必要ないのです。自然、または人間が作り出したものをいろんな場所から見るように聴いて欲しいです。音楽の中で想像の散歩をして下さい。どちらが表,どちらが裏、何が背景、何が前なのかを自分で決めて下さい。ある時にある要素、後に違う要素を近づけてみて下さい。
月をずっとみることは出来ないのです。そして見えるはずの時でも、時々、月あるいは私達の前に雲か霧か、建物がありますが、私達の意識にはずっと消えないのです。私の音楽にも音がする時としない時、音が動いている時と音が止まっている時がありますが、音楽はずっと続いています。音楽の音が何も耳に入ってこない時でも、頭の中で響いています。この「Ablicht mit Riten」という音空間も、儀式の1つであると言えるでしょう。
(Peter Gahn)