mit geliehener Aussicht - Umgebung 1+2

アンサンブル

Fl/Klar(B)/Tp(B)/Pos(Tenor/Bass)/2 Schlgzg/Klav/Va/Vc/Kb

(1997/98)
15 min
Edition Juliane Klein

演奏

  • 世界初演: Ensemble Phoenix Basel, Saal Kantonsschule Zürich スイス 2000
  • その他の演奏: Stadt-Casino Basel/ Temple Farel La-Chaux-de-Fonds

録音

  1. Schweizer Radio DRS, Ensemble Phoenix Basel, Jürg Henneberger (Leitung) 2000

プログラムノート

「借りてきた風景と共に − 外界1+2」
「Mit geliehener Aussicht」は「借りてきた風景と共に」という意味で、元々は“借景”という日本語を翻訳したものだ。
「借景」の意味は庭園外にある風景を庭園の構成要素として取り入れることだが、私は先に庭園として大きな編成の一部分にするつもりでピアノソロの作品を作曲して、それからそれに合わせる為に「外界1」としてクラリネット、チェロと打楽器のグループ、最後に「外界2」としてアンサンブルの六人のグループを足すことにした。
結局は3つのヴァージョンがある。各ヴァージョンは単に編成が異なるだけではない、独立した作品となっている。

雅楽のヘテロフォニーに影響を受け、それぞれの楽器、あるいは楽器群があるひとつの構造に従い、楽器自体のもつ特徴や能力に統制されるような断片を作曲しようとした。

ピアノのテクスチュアは、全体の要素のリニア・カウンターポイント(線的対位法)になっている。
これらの要素は、動機的に使われているのではなく、いつも違う形で現れる。最初には目立たなかったものが後で重要になったり、また、急に新しい要素が現れたり、中には1回しか現れないものもある。
要素は一定の決まった形に固定されていないため、類似の形に見えて、まったく別の要素であるいう場合もある。様々な形の間の類似と相違を慎重に比較して聴くことで、各要素のキャラクターが顕現してくるのである。

このパートのパースペクティヴは、他のグループのコンビネーションと共に変化していく。
聴衆は、それぞれが自分自身の聞き方やパースペクティヴを選択することでき、必ずしもピアノのように前面に置かれる楽器や、その時々でもっと直接的なパートを選択して聞かなくてもよい。
庭園の中であちこちに向いてゆっくり散歩しながら様々なものを違う所から見つめるように、音楽の風景の中で耳で散歩しながら、自分の聞き方を選ぶのはこの作品の自由の楽しさである。
(Peter Gahn)